読書感想文_三四郎

三四郎_美禰子の夫選び

美禰子がほかの男のもとに行った理由は何だったのか。三四郎はどうしたら美禰子と一緒になれたのだろうか。 与次郎曰、 「二十前後の同じ年の男女を二人並べてみろ。女のほうが万事上手だあね。…よく金持ちの娘や何かにそんなのがあるじゃないか、望んで嫁に…

三四郎_決着

美禰子への借金返済を実行に移す時が来た。美禰子がいるという画家の邸宅を訪れ、そこで彼女がモデルの絵が完成していくのを目にする。 豪奢で趣のある画家のアトリエやモデルをする美禰子の様子が繊細に説明されているこのパートは、私のお気に入りの一つで…

三四郎_余所の不幸と己の悲劇

他者の苦痛に同情する能力が薄れた現代人。新聞を開けば多くの事件事故に直面するが、それらは情報であって、悲劇ではない。三四郎は余所の子どもの葬儀を美しい光景と感じる一方、美禰子のことになると、彼女には死の悲しみがないにも関わらず、確実に苦悶…

三四郎_振り回し

美術館を出ていく三四朗と美禰子。二人の間で微妙な会話が交わされる。 「雨の音の中で、美禰子が、『さっきの御金を御遣いなさい』と云った。『借りましょう。要るだけ』と答えた。『みんな、御遣いなさい』と云った。」(199) 三四郎はこの美術館での一件の…

三四郎_美術館での美禰子のささやき

野々宮の前でこれ見よがしに美禰子が三四朗にささやいた言葉が何だったのか、三四郎が問うシーンについて。 美禰子の「用じゃないのよ」という返答に、三四郎は納得のいかない顔をする。すると彼女は「野々宮さん。ね、ね」「解ったでしょう」と、うら若き青…

三四郎_三四郎の野々宮に対する評価とその変遷

三四郎が美禰子に惹かれるに従って、彼の野々宮への評価が変化していくのが面白い。 初めて野々宮に会った時「洞窟に閉じこもって研究ばかりしている鬼才人」という印象を受けた三四郎。池のほとりで考えに耽りながら、以下のように野々宮の勤勉ぶりを称賛す…

三四郎_美禰子との出会いと大学生活の始まり

なんとも陳腐なことを書き綴ってしまった前回。今回は、「三四郎」の冒頭~講義開始あたりのところまでの空想と考察を、個人的な意見を挿し込みながら記録していこうと思う。 私は論文を書くことがとてもとても嫌いだ。型にはめこむ、ドウデモイイルールに従…

三四郎_読書感想文の前書き

三四郎の再読に取り掛かっている。 今回の読書は、この作品が漱石小説群の中で最もお気に入りであると公言するためにその明確な理由を獲得し、この作品の味を他者に伝え得る程深く理解することを目的としている。 私がこの作品を気に入っている理由は、実は…