2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

三四郎_振り回し

美術館を出ていく三四朗と美禰子。二人の間で微妙な会話が交わされる。 「雨の音の中で、美禰子が、『さっきの御金を御遣いなさい』と云った。『借りましょう。要るだけ』と答えた。『みんな、御遣いなさい』と云った。」(199) 三四郎はこの美術館での一件の…

三四郎_美術館での美禰子のささやき

野々宮の前でこれ見よがしに美禰子が三四朗にささやいた言葉が何だったのか、三四郎が問うシーンについて。 美禰子の「用じゃないのよ」という返答に、三四郎は納得のいかない顔をする。すると彼女は「野々宮さん。ね、ね」「解ったでしょう」と、うら若き青…

三四郎_三四郎の野々宮に対する評価とその変遷

三四郎が美禰子に惹かれるに従って、彼の野々宮への評価が変化していくのが面白い。 初めて野々宮に会った時「洞窟に閉じこもって研究ばかりしている鬼才人」という印象を受けた三四郎。池のほとりで考えに耽りながら、以下のように野々宮の勤勉ぶりを称賛す…

三四郎_美禰子との出会いと大学生活の始まり

なんとも陳腐なことを書き綴ってしまった前回。今回は、「三四郎」の冒頭~講義開始あたりのところまでの空想と考察を、個人的な意見を挿し込みながら記録していこうと思う。 私は論文を書くことがとてもとても嫌いだ。型にはめこむ、ドウデモイイルールに従…

三四郎_読書感想文の前書き

三四郎の再読に取り掛かっている。 今回の読書は、この作品が漱石小説群の中で最もお気に入りであると公言するためにその明確な理由を獲得し、この作品の味を他者に伝え得る程深く理解することを目的としている。 私がこの作品を気に入っている理由は、実は…