ハイキュー_映画感想文

ものすごく良かった。

 

以下、ネタバレ気にせずに書いていくのでご注意ください。
また、私はフィクションに対しても本気で向き合いすぎるきらいがあるためまるで登場人物たちが実在しているかのような熱量で文章を書いています。こちらの点もご留意ください。

 

 

 

キターこれがハイキューだー!!!!!という気持ちにさせてくれるチャーミングなキャラたち、それにぴったりな声、高揚感を煽る音楽、スピードや重量を効果的に感じさせてくれる演出、そして両チームに寄り添った素晴らしいストーリー。どれをとっても最高だった。

原作ハイキューはスポーツ漫画だけど、スポーツにおける技術や戦略だけではない。少年漫画だけど、派手な技や癖の強いキャラクターだけではない。個人的にハイキューの魅力の主軸になっていると思うのは、チームで何かに取り組む人間の心の動きやそれぞれのスタンスといった情緒面の優れた描写だ。チーム戦である以上、メンバーの能力やメンタルの波長が合っていないとうまくいかないことがでてくる。ただそんなものは合わないのが普通で、合わないことによる摩擦がストーリーと成長を生む様子、そして身長や身体能力といった才能の凸凹に苦悩し乗り越えようと工夫する様子が、純文学ほど堅苦しくなく少年少女にも伝わる形で描かれているのがこの作品の妙である。原作への熱が強すぎて魅力語りが長くなってしまったが、映画でも情緒面を大切に描いていてよかったと言いたかった。

 

 

この映画を観て改めて感じたのはキャラデザの良さ。デフォルメの具合や特徴のつけ方がお洒落で、デザインの可愛らしさがストーリーに含まれる温かみとリンクしてより魅力を高めている感じがする。映画でもキャラクターの表情が丁寧に素敵に描かれていて、映画製作者様たちの気概が伝わってきた。

登場人物たちは春高に出るくらいなのでバレーボールの実力は勿論高くて、地道な努力をしてきた強い高校生たちなのだけど、日向はもちろん一見冷ややかな影山や月島たちにもどこか愛嬌があってそのギャップが魅力的。ハイキューの場合キャラクター全員に愛嬌が備わっているのでもはやギャップじゃなくてアーマーみたいな感じだけど。

どんなに手ごわい敵でも笑顔がかわいかったり、お茶目なことやらかしたりしているとやっぱり憎めない。ハイキューでよく言われることだが、敵チームにも感情移入してしまうくらいしっかり対戦相手のエピソードが描かれる。この会場にいる全てのチームにバレーボールをやってきた高校生活があって、それを終えないといけない時が皆にあるということを、それぞれのコートの去り方で思い知らされるのだ。

 

 

この映画で日向がアニメハイキュースタート時(2014年なので10年前)から変わっていないことが、一ファンとして嬉しかった。日向がとても日向で、永遠にチャーミングで負けず嫌いで強くあれ…!と願わずにはいられなかった。
研磨くんはもうこの声とけだるさがしっくりきすぎていて、声優さんというものがいるとは思えない。研磨くんそのもの。
クロさん、良い声。中村さんだと知らずに観ていたアニメシリーズのあの時期が黄金に思える。
本作で特に良かったのが、ツッキーの声。コミカルなシーンで絶妙にリアルな対応をすることで面白さが増しているのと、カッコいいシーンでは透き通った神聖なお声できめているのが、全方位に隙が無くてある意味ツッキーらしい。天才。(こういうのはあんまり分析しないほうがいいと分かってはいるんだけどね、ついやってしまった)

 

日向が研磨の策略に捕らえられて身動きが取れなくなっているのを見て腹の底から日向を応援し、熱い試合展開にどきどきし、最後は笑って泣いている音駒の選手たちに心の中で拍手を送って、烏野の勝利と次の試合への期待にほくほくしながら真っ暗な家路を辿った。